「800年以上変わらない井戸の位置」

水はすべて伏流水です。

外井戸が一つ、内井戸が二つ、
嘗ては外井戸がもう一つあったそうです。

水質・水量共に安定しており、
かつてはご遠方の蔵元さんまでが大吟を仕込むために
水を取りに見えました(もちろんただです)。

私は水が酒造りの要だと思っております。

酒造りにおける酒質への寄与率からすると、米ではなく、
まず水の寄与率が最も高く、次いで酵母、そして米です。

もちろんどれが欠けても良いというものではなく、
全て納得できるものが揃わなくてはなりませんが、
強いて優先順位をつけるとすれば上記の順だと思っております。

仮に醸造過程で酒質に於ける水の誤差が
当初0.01mmであったとすると、酒母、もろみを経て
上槽(お酒を搾る)頃になると何百mもの開きが出来てしまいます。

近年になって自然環境の大切さを
やっと認識するようになって参りましたが、
水道水を飲んでも分かるように、一度変わってしまった水は
どんなことをしても元に戻すことは出来ません。

近海の海洋生物の生態系への影響には、
川上の森林伐採が一因していることは周知のとおりですが、
伏流水の水質が変化したとすると日本酒における味、
或いは香りの微量成分への影響は計り知れないものがあります。

今日まで代々の当主が長年の英知と伝承から大切に水を守り、
伝えてくれたものだと、今はただただ感謝するのみです。

今ある恵まれた自然環境を如何に守り、育て、更に良い姿で
次の代に伝えることが大きな責務であると考えます。

 水質の良い水は仕込みにはもちろん、
お茶を点てても、紅茶、コーヒー、料理等々でも
素材の良さを存分に引き立て、
ものの見事に季節感を堪能させ、至福の一時を与えてくれます。