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冷やおろしは一回火入れって本当ですか?アル添は有りますか。

弊社で冷やおろしを出してから、早や46年。

いつの間にか冷やおろしも各蔵が出し始め、

多様性のある冷やおろしが出てきました。

日本酒には残念ながら、AOC原産地呼称制度の

様な細やかな規定性が有りません。

そこで、その歴史的経緯から

その商品の本来の姿の規定性を解釈して、

結果としての、検証結果を後世に伝えなければ

なりません。やはり、拡大解釈するにしても程々の

限界があると思われます。この様な歴史的経緯を

踏まえた仮説と検証、検証結果の伝承が

造り手の

重要な役割の一つと考えています。

ひょっとすると造り手も、売り手も

何も知らないまま、様々な情報が錯綜し、

所謂、本質的な流れからかなり右へ左へと

大振れした情報、商品が拡散することに

成り兼ねません。

冷やおろしは本来、生酒の夏越しを生のまま

蔵出しした商品が「冷やおろし」です。

醸造技術が発達してなかった当時(江戸時代)、

生酒の夏越しは至難の技でした。

昭和48年(1973年)蔵出しした当時は

火入れした商品であっても、火落、蛋白混濁が

多かった時代です。その時代でも生酒を

蔵出しする事は正に、想定外、驚いたと言うよりも

信頼して頂けませんでした。

生酒など、有り得ないと言う時代でした。

江戸時代は殆どの酒が当初は生酒

でした。室町時代、永禄3年(1560年)が火入れの初見と

言われていますが、残念ながら、普及し始めたのは

江戸時代後期以降です。故に、夏越しの

生酒は大変珍重され、また、秋のこの季節に

飲むと、その味わいの隅々まで、堪能することが

できることから、この様な複雑な味わいの

商品を楽しむ様になったものと思われます。

極めて、理に適った商品、飲み頃の季節であったと言えます。

冷やおろしは米だけで造るもの、アルコール添加酒は

冷やおろしとは呼びませんでした。

また、特定名称で言うのであれば、冷やおろしは

「生酛」です。いつしか時代の流れの中で、様々な多様性も

考えられますが、正確には、

「冷やおろし」

とは

「生酛純米酒 無濾過・生々」、

精白はしていたので、精白のある原料米、

従って、今風の純米酒である玄米仕込みは

該当しないと思われます。

多様性の意味では

現代風進化系としての

「生酛純米吟醸酒 無濾過・生々」

或いは

「生酛純米大吟醸酒 無濾過・生々」

のみが本来の「冷やおろし」と言えます。

弊社は

生酛大吟醸酒 無濾過・生々の冷やおろし

をお届けしていますが、生酛は

仕込み日数が通常の商品の倍位

掛かってしまうので、価格もそれなりの

価格帯になってしまいます。

この為、通常の純米大吟醸酒の完全な生酒も

冷やおろしとして商品化しております。

この季節、是非、美味しい冷やおろしを

お楽しみください。

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