9月22日(金)冷やおろしが出荷になりました!!
当蔵は冷やおろし熟成の老舗、古(いにしえ)の江戸時代、
冷やおろしは「生」でした。冬に造った生酒が一夏を越し、
繊細で複雑な味わいになった秋口、外気温とお酒の温度が粗、
同じになった頃に、蔵出しになります。
生酒を常温で飲む、これは最高の贅沢でした。このお酒を
どれほどのお客様が楽しみにしていたことか。
お酒を火入れすると言う事は
どんなに上手でも難しいもの。折角、良いお酒に出来上がっても、
焼き魚と同じで、物質が変性するからです。生の魚と焼き魚の違い、
圧倒的に生酒にその繊細で複雑な美味しさが
封じ込められます。火入れで熟成させた方が管理も極めて
楽で、莫大な管理費用も掛からなくて済みます。完全な生酒の
熟成は管理費用も莫大ですが、非常に緻密な完璧な管理技術日々
求められます。見え難い品質、雑菌との戦いです。日々のプレッシャー
も半端ではありません。最後の、最後のボトリングまで
緻密で精度の高いボトリング技術が求められます。それが終了して、
初めて、商品として蔵出しできます。
生熟成の冷やおろしが完成した時の喜びは冬の仕込みの初しぼり
(一番搾り)が出た時よりも、更に、ホッとする瞬間です。
「一夏、よう越してくれた、頑張ってくれた」、と思う瞬間でも
あります。一寸肩の荷が降りたような感じです。
それ故、商品は全量、無濾過。
完璧が求められます。濾過をすれば、良くない処があっても
取り除くことができて、微調整も、修正も可能です。気持ち的にも
その方が楽ですが、やはり、生まれたままの「生酒」の姿のままで
出すのが真骨頂、代々の教えをそのままに、どこまでも、とことん
真剣勝負の世界です。
それが完成形の姿として送り出せた時の喜びは一入(ひとしお)
です。「よっしゃー、やったー」、と思う瞬間です。
特に、生酛は生、精々火入れしても一回、生酛冷やおろしは
絶対に生酒です。生酛の本来の全容が初めて、見えてきます。
日本酒の原点でもある生酛を始め、辛口雷神、郷乃譽、霞山の
冷やおろしをこの季節に是非、お楽しみ頂ければ幸いです。